ラプーン
きらら
この記事では、「海外FXに興味がある」「海外FXで利益を得た際の税金事情を知りたい」という方向けに、海外FX×税金の関係性について詳しく解説をしています。
この記事では特に以下の内容をまとめています。
- 海外FXで利益を出した場合はどうしたらいいか
- 海外FXによって出た利益を納税する場合の重要ポイント
- 海外FXにおける納税シミュレーション
- 海外FXの納税に関するQ&A
- 国内FXの海外FXどちらが得になるか
これらを押さえておくと、節税のことも意識しながらFXを考えていくことができるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
目次
海外FXで利益を出した場合はどうしたらいい?
海外FXを始めたことで利益が発生した際には、その利益をどのように取り扱っていくのかということを考えなくてはいけません。端的に言えば、「納税は必要なのか?必要ではないのか?」という点です。
この点について詳しく確認をしていきましょう。
海外FXで利益を出した場合でも納税は必要
結論から言うと、海外FXにて利益を出した場合には「日本国」に納税を行う義務があります。
一般論として、全ての日本国民(日本居住者)は一定以上の所得を得た場合には確定申告を行い、所得に応じた割合の所得税と住民税を納めなくてはいけないことになっています。
この「一定以上の所得」とは、給与所得者が給与以外に年間20万円以上の利益を得た場合のことを指しています。また、非給与所得者の場合は年間38万円以上の利益を得たケースのことです。
ここまでは一般常識の範疇で、誰でも知っていることかもしれません。しかしここで押さえておきたい大事な点は、海外FXで得た利益も同様に申告し、税を納めなくてはいけないという点です。
居住者の課税所得の範囲
居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人をいいます。 なお、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。
非永住者以外の居住者
非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、その 全ての所得に対して課税されます。一般的にはほとんどこのケースに該当します。
引用:国税庁HP
国税庁のHPには、『所得が生じた場所が日本国の内外を問わず』と明記されています。
「国外で得た利益だから、日本の法律に従って納税をする必要はない」「FX会社の本社がある国で納税手続きを行わなくてはいけない」という論法とはならないので、この点は頭に入れておく必要があるでしょう。
納税をしなければいけない人と納税タイミングとは
FXで利益を得た場合に確定申告を行い、納税をしなければいけない人は「FXで利益を得た人全員」ではありません。例外もあります。
先に触れた内容の中で、下記の2点の場合に納税の義務があると解説をしました。
- 給与所得者が給与以外に年間20万円以上の利益を得た場合
- 非給与所得者が年間38万円以上の利益を得た場合
この2点を逆に捉えるなら、この金額以下の利益が発生している場合には確定申告を行い、納税をする義務はないということです。この利益の金額が確定するタイミングは「ポジションを決済したとき」ですので、ポジションを保有したままで、含み益(含み損)が発生しているだけであれば、利益を得たということにはなりません。
具体的に例を出して考えてみましょう。
・2020年に50万円の含み益が発生
・2020年中に10万円分を利益確定(40万円の含み益は保留)
この場合においては、確定した利益は10万円のみとなります。例では、給与所得者であっても「20万円の利益には届いていない」ため、納税の義務はありません。
海外FXによって出た利益を納税する場合の重要ポイント
ここからは、海外FXによって出た利益をどのように取り扱っていく必要があるのかという点について解説をしていきます。法律でどのように定められているのかという事柄についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
FXによって得た利益は雑所得に区分
FXによって利益を得た場合にはその所得を「雑所得」として区分することになります。雑所得とは、下記の9種類に分類されない所得のことです。
- 給与所得
- 退職所得
- 一時所得
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得
代表的な雑所得としては、原稿料、講演料、年金、印税などが挙げられます。この区分にFXによる利益も入るのです。この場合は、給与所得や利子所得など他の所得と合算したあとに税金を計算していくことになります。基本の所得9種に対して雑所得を加えた合計10種類の所得を合わせ、そこから経費や控除を差し引いた金額に対して税金が発生していきます。
FXによって得られる利益は2種類
細かく見ていくと、FXによって得られる利益は2種類に分けられます。それは「為替差益」と「スワップポイント」の2つです。
為替差益とは、為替レートの値動きを利用して通貨を売買することで利益を出す手法です。一般的に「FX取引によって利益を出す」ことを考える際には、このトレードを想像する人が多いかもしれません。
また、スワップポイントとは、各国の金利の差を利用して出す利益のことです。低金利の国の通貨を売り、高金利の通貨を買う場合には、両国の金利に差が出ることになります。この金利の差額を調整するために付与されるものがスワップポイントです。
この2つを織り交ぜながら利益を狙っていくことがFX取引においては基本です。
税区分について理解しよう
先にも触れたとおり、海外FXで利益を得た場合には「所得に応じた割合の所得税と住民税を納めなくてはいけない」と法律で定められています。では、この額はどのように決まっていくのでしょうか。
この額を算出するにあたっては、「税区分」を理解しなければいけません。海外FXの取引で生じた利益は、総合課税の対象となり、累進税率が適用されます。この累進課税は、所得が増えれば増えるほど税率が上がるという仕組みです。国内FXは税率一律20%と決まっているので、場合によっては国内FXで得た利益よりも大きな額を支払わなくてはいけません。国内FXとの違いを表で確認してみましょう。
項目 | 海外F X | 国内FX |
---|---|---|
所得区分 | 雑所得 | 雑所得 |
税区分 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 累進課税 | 一律20% |
損失繰越 | 不可 | 3年にわたって可能 |
税区分は総合課税であり、税率は累進課税が適用されるということをここでは覚えておきましょう。もう少し詳しく解説していきます。
納税する税金は所得税と住民税
利益を上げた場合に納税しなければいけない納税項目は、所得税と住民税の2つです。
まず所得税ですが、この金額は確定申告の際に提出する書類に記入した所得額に従って決まります。所得額による税率の変化は以下の表のとおりです。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
1,500万円を稼いだ場合には税率が33%、2,000万円を稼いだ際には40%がそれぞれ適用されるということですね。
また住民税は一律10%となっていますが、確定申告終了後に税務署が金額の計算を行い、毎年6月を目安に納税額が記載されている通知書が自宅へ郵送されます。加えて、2037年(令和19年)12月31日までは、復興特別所得税2.1%を加えて支払うことが必要です。
経費にできるもの
海外FXで得た利益と国内FXで得た利益の税率が違うのは先にも触れたとおりです。しかし、確定申告を行う際に「利益」として申告して実際に課税対象となる額は、トレードによって利益から諸経費を引いた額によって決定されます。つまり、経費が多ければ多いほど支払う所得税は安く済むことになります。FX取引において経費として勘定できる項目は数多くありますが、代表的な例は以下のとおりです。
- トレードを行うために用意したパソコンやスマートフォン、モニターなどの購入費用
- 月々のインターネット料金
- FXについて学ぶための書籍購入費用
- トレードを行っている部屋の家賃や光熱費(住居兼用の際には家賃按分にて計算)
- セミナーなどの受講費用
インターネット料金や家賃、光熱費などは、「事業に係る部分」と「プライベートで使っている部分」の境をしっかりと定めておくことが大切です。全額は経費として認められることはないので、この点には注意をしておきましょう。
海外FXの節税対策まとめ:税金を少しでも減らそう!海外FXにおける納税シミュレーション
では、実際に海外FXで利益が出た際には、どの程度の額を納税することになるのでしょうか。シミュレーションで確認していきましょう。
【前提条件】
給与所得→600万円
海外FXによる発生利益→200万円
①給与所得控除の計算
まずは給与所得にかかる控除額を計算していきます。収入金額と控除額の対照表は以下の通りです。
給与等の収入金額 ((給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
今回は年収が600万円という想定なので、計算は以下のように行います。
600万円×20%+44万円=164万円
②給与所得控除後の金額を計算
まず、給与収入の金額から給与所得控除の金額を引きます。
600万円-164万円=436万円
この436万円に、FXによって出た利益200万円を足し、さらに
・基礎控除48万円
・社会保険料控除(80万円と想定)
を差し引きます。
436万円+200万円=636万円
636万円-48万円-80万円=508万円
ここまでで「課税所得」が508万円になることがわかりました。
③税率を掛ける
所得税
所得税の税率に従って、税金を順番に計算していきます。
1,949,000円までの税金:97,450円
3,299,000円までの税金:134,900円
5,080,000円までの税金:356,000円
所得税=588,350円
住民税
508万円×10%=500.800円
~復興特別所得税~
588,350円×2.1%=12,355円
588,350円+500.800円+12,355円=納税額合計1,101,505万円
※保険控除等の諸条件を除く
以上のような計算シミュレーションとなります。このケースだと、合計1,101,505万円を税金総額として支払うことになりますね。今回は一つひとつ順を追って計算をしましたが、計算ツールなどが世の中には多く出回っているので、使いやすそうなツールをぜひ見つけてみてください。
海外FXの納税に関するQ&A
ここでは、海外FXに関する疑問などをQ&A方式にて4点解説していきます。その内容は下記の通りです。
- 海外FXで損失は繰越できる?
- 海外FXによって得た利益を申告しないとどうなる?
- 納税の計算と確定申告を楽にするには?
- 確定申告の際に用いる年間損益報告書を入手するには?
それでは見ていきましょう。
海外FXで損失は繰越できる?
国内FXで損失は繰越できますが、海外FXではできません
国内FXにおいては、損失は3年間の繰り越しができます。
1年で損失を出したとしても、翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことで、翌年以降
の利益と相殺する「繰越控除」が可能となっています。2020年に300万円の損失を出
し、2021年に310万円の利益を出した場合には2年間で+10万円となるため納税をする必
要はありません。
※損失分の確定申告が必須です。
しかし、海外FXにおける損失繰越控除は認められていないので、この点には注意を向けて
おきましょう。
海外FXによって得た利益を申告しないとどうなる?
追徴課税を支払うことになります
FXで利益が出た場合、FX会社からの申告によって税務署側はどのユーザーがどれくらい利益を出しているかをきっちり把握しています。FX会社は顧客の取引損益等を記載した支払調書を税務署に提出しており、それによって税務署はユーザーがFXで利益を上げていることを押さえているのです。
利益を上げているにも関わらず確定申告を行わないでいると、追徴課税を課される可能性もあるので注意が必要です。
さらには、以下の可能性もあります。
- 無申告課税(課税所得の15~20%)
- 重加算税(課税所得の40%)
- 懲役(逮捕)
申告漏れには充分な注意を払い、ましてや「申告しなくても大丈夫」という考えをもし持っていればすぐに捨てましょう。
納税の計算と確定申告を楽にするには?
A:税理士にお願いするか計算ソフトを使いましょう
税金の計算を楽にするためには、税理士に確定申告周りをすべて依頼することが一番手っ取り早く簡単です。しかし、ある程度の費用がかかること、そして税理士とのコミュニケーションコストがかかるということには留意が必要です。
また、国内では「海外FXの税金計算ツール」を開発している企業もあります。このツールを用いることで計算はグッと楽になります。
確定申告の際に用いる年間損益報告書を入手するには?
A:FX会社の取引ツールからダウンロードできます
FXによる利益を確定申告する場合には、年間損益報告書が必ず必要となります。利益と損失を把握できる大切な書類なので、確実に入手しておきましょう。この年間損益報告書はFX会社の取引ツールからダウンロードすることができます。
国内FXの海外FXどちらが得になるか
ここまで、海外FXによる税金事情の知識について解説してきました。よく議論になる項目として「国内FX・海外FXどちらが優位か」という内容がありますが、個人の所得やFXによって得た利益、そしてトレードの方式によって結果は全く異なったものとなります。
税金という点のみで考えるのであれば、国内の所得税は一律20%であるということをしっかりと覚えておきましょう。330万円までの課税は海外FXの方が得ですが、それを超えればトントンあるいは損をしていくことになります。また、総合課税と申告分離課税で比較すると、他の所得とFXの利益を合わせた総所得が少ない場合は、総合課税の方が税金は少なくなります。
自分の所得や、海外FXに求めること(ハイレバレッジ・ゼロカットなど)、そして税率など様々な観点を織り交ぜながら自分に合った方式を選んでみてください。
海外FX周りにおける税金事情のまとめ
この記事では海外FXでの取引が気になっている方向けに、海外FXにおける税金事情周りを解説してきました。
まとめとして、以下の点を覚えておいてください。
- 海外FXで利益を出した場合でも納税は必須
- 給与所得者→年間20万円以上、非給与所得者→年間38万円以上の利益を得た場合は納税を
- FXによって得た利益は雑所得に区分
- 納税する税金は所得税と住民税
- パソコン代や家賃の一部など色々と経費にできる
- 税率をしっかりと理解する必要がある
- 海外FXで損失は繰越できない
- 海外FXによって得た利益を申告しないと追徴課税or罰則がかかる
- 国内FXの海外FXどちらが得になるかは、その人によって変わる
この記事を参考にして税金のことを理解した上で、ぜひ海外FXにチャレンジしてみてください。
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